保湿が大事な事は分かった。
より効率よく潤わせたい。
化粧水を真皮まで届かせたい。
本日の対象者
・化粧水やパックで真皮まで潤わせようとしてる人
・有名な人が言ってることを信じてしまう人
・真皮まで潤わせるって言ってたけど真皮ってナンデスカ?な人
結論
化粧水は基本的に真皮まで届きません。
理由は皮膚の構造と、化粧水の成分の性質にあります。
皮膚の構造と浸透の限界
化粧水やスキンケア製品がどこまで浸透するのかを理解するために、皮膚の構造とバリア機能について詳しく見ていきましょう。
皮膚の構造
皮膚は大きく表皮・真皮・皮下組織の3層に分かれています。
(1) 表皮(ひょうひ)(0.2mmほどの薄い層)
皮膚の最も外側にあり、外部の刺激から体を守る役割を持っています。
特に、「角質層」がバリア機能を持ち、スキンケア成分の浸透を制限します。
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≪角質層≫
「レンガとセメント」構造 → 角質細胞(レンガ)と細胞間脂質(セメント)がブロックを作る
細胞間脂質(セラミドなど)が水分を抱えて肌のうるおいを保持
バリア機能が強く、大きな分子や水溶性成分は通しにくい
≪顆粒層(かりゅうそう)≫
「タイトジャンクション」と呼ばれる構造で、異物の侵入を防ぐ
≪有棘層(ゆうきょくそう)・基底層(きていそう)≫
基底層では細胞分裂が行われ、新しい皮膚が作られる
メラノサイト(シミの原因になるメラニンを作る細胞)が存在

👆化粧水の成分は基本的に角質層までしか浸透しません。
(2) 真皮(しんぴ)(約2mmの厚み)
表皮の下にある、肌のハリや弾力を支える層。
≪真皮の主成分≫
・コラーゲン(約70%):肌の弾力を保つ繊維
・エラスチン:コラーゲンを支える弾力繊維
・ヒアルロン酸:水分を保持するゼリー状の物質
・線維芽細胞(せんいがさいぼう):コラーゲンやエラスチンを作る細胞
≪真皮の役割≫
・血管があるため、酸素や栄養を運ぶ
・傷が治る機能(創傷治癒)がある
・化粧品の成分は基本的に届かない(血管があるので、成分が入れば「薬」として扱われる)
👆化粧品は基本的に真皮には届かない!
(3)皮下組織(ひかそしき)
・真皮の下にある、脂肪組織が豊富な層。
・皮膚のクッション的な役割
・外部の衝撃から体を守る
・血管が豊富にあるため、薬剤が届くと全身に作用
👆化粧品レベルの成分は届かない!注射などが必要!
浸透の限界とバリア機能
スキンケア成分が皮膚の奥まで届かない理由は、皮膚の強力なバリア機能にあります。
(1) 角質層バリア
- 水分が蒸発しないようにしながら、有害物質の侵入を防ぐ
- セラミドや脂質で構成され、水溶性成分が浸透しにくい
- 大きな分子は通れない(例:ヒアルロン酸など)
(2) 経皮吸収のルート
肌に塗った成分が浸透するルートには、以下の3つがあります。
- 角質細胞間経路(かくしつさいぼうかんけいろ)
・細胞と細胞のすき間(細胞間脂質)を通るルート
・例:セラミド、リポソーム化された成分 - 角質細胞内経路(かくしつさいぼうないけいろ)
・角質細胞を直接通るルート(非常に少ない)
・例:一部のナノ化成分 - 付属器官経路(ふぞくきかんけいろ)
・毛穴や汗腺を通じて浸透するルート
・例:一部の薬剤、医療用成分(イオン導入など)
👆普通の化粧水はほぼ「角質細胞間経路」しか使えないです。
化粧品と医薬品の違い
化粧品と医薬品の違いは、日本の「薬機法(旧・薬事法)」によって厳格に定められています。
化粧品の広告で「シワが消える」「肌の奥まで届く」などの表現が制限されるのも、この法律があるからです。
化粧品・医薬部外品・医薬品の違い
スキンケア製品は、大きく3つのカテゴリに分類されます。
化粧品 | 医薬部外品 | 医薬品 | |
---|---|---|---|
目的 | 肌の状態を整える | 予防や軽度の改善 | 治療・改善 |
作用の強さ | 弱い | 中程度 | 強い |
認可の必要性 | なし(自由に販売可) | 有効成分の承認が必要 | 厚生労働省の承認が必要 |
副作用 | ほぼなし | ほぼなし | あり(医師の指導が必要な場合も) |
例 | 化粧水・乳液・美容液 | 美白化粧品・育毛剤・ニキビ予防薬 | シミ治療薬・ニキビ治療薬・湿疹治療薬 |
(1) 化粧品
≪定義≫
皮膚や毛髪を清潔にし、美しく見せるもの
≪目的≫
保湿・保護・洗浄・香りなど、肌を健やかに保つためのもの
・作用がマイルドで、肌の構造や機能には基本的に影響を与えない
・薬効成分の配合はOKだが、効果・効能を強く謳えない
・「浸透」や「真皮まで届く」という表現はNG
・「肌を整える」「保湿する」「なめらかにする」といった表現はOK
(2) 医薬部外品(薬用化粧品)
≪定義≫
厚生労働省が「効果がある」と認めた有効成分を一定量含む製品
≪目的≫
化粧品と医薬品の中間的な存在
・一定の効果が認められているが、医薬品ほど強くない
・美白、シミ予防、ニキビ予防、育毛、体臭予防などの効果が認められる
・「シミを防ぐ」「肌荒れを防ぐ」などの表現はOK(治療ではなく予防)
例:
・美白化粧品(アルブチン、トラネキサム酸配合)
・薬用シャンプー(フケ・かゆみを防ぐ)
・薬用ニキビケア(サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール配合)
(3) 医薬品
≪定義≫
病気や症状を治療・予防するためのもの(厚生労働省の承認が必要)
≪目的≫
成分が体内に作用し、病気や異常を改善する
・「シミを消す」「シワを改善する」「ニキビを治す」といった効果がある
・肌の奥(真皮や血流)に作用する成分が含まれる
・副作用のリスクがあり、使用に注意が必要
例:
・トレチノイン(シワ・シミ治療)
・ハイドロキノン(美白治療)
・ベピオゲル・ディフェリンゲル(ニキビ治療)
👆医薬品は「治療」目的なので、化粧品とはまったく別物です。
広告表現のルール(誇大広告禁止)
薬機法では、化粧品や医薬部外品の広告表現にも厳しいルールがあります。
❌ NGワード(化粧品では使えない表現)
・ 「シワが消える」 →(医薬品でないとNG)
・ 「真皮まで届く」 →(化粧品は角質層までしか届かない)
・ 「シミがなくなる」 →(治療表現はNG、「予防」ならOK)
・ 「ニキビを治す」 →(「ニキビを防ぐ」ならOK)
🔵 OKワード(化粧品で使える表現)
・ 「肌にうるおいを与える」
・ 「肌をすこやかに保つ」
・ 「シミを防ぐ(医薬部外品)」
・ 「ニキビを防ぐ(医薬部外品)」
実際に何を選べば良いか?
・予防・ケアしたい → 「化粧品」や「医薬部外品」
・症状を改善したい → 「医薬品」や「皮膚科の治療」
例:
・乾燥を防ぐ → 化粧品(保湿成分配合)
・シミを予防したい → 医薬部外品(美白有効成分配合)
・シミを薄くしたい → 医薬品(ハイドロキノンなど)
・ニキビを防ぎたい → 医薬部外品(サリチル酸など)
・ニキビを治したい → 医薬品(皮膚科の薬)
👆お肌でトラブルがおこっているならクリニックに相談するのが一番です。
最新の浸透技術とスキンケアへの応用
スキンケア業界では、「化粧品の有効成分をより深く浸透させる」ために、さまざまな技術が開発されています。
ただし、「浸透する」と言っても、基本的に角質層までであり、真皮に直接届くわけではありません。
そもそも化粧品の浸透の壁とは?
皮膚には強力なバリア機能があり、大きな分子や水溶性の成分はなかなか浸透しません。
特に、角質層はラメラ構造(角質細胞+細胞間脂質)になっており、異物の侵入を防ぐ仕組みがあります。
≪浸透を妨げる主な要因≫
・分子量が大きい成分は通れない(例:ヒアルロン酸、コラーゲン)
・水溶性成分は油性のバリアを通過しにくい
・真皮に到達するには血管を通る必要があるが、化粧品は血管まで届かない
そこで、成分をより深く浸透させるための技術が開発されました。
最新の浸透技術
(1) リポソーム技術
「有効成分をナノカプセル化」して浸透力を高める技術。
≪仕組み≫
・有効成分をリン脂質(細胞膜の主成分)で包むことで、肌のバリアを突破しやすくする
・肌の細胞膜と似た構造のため、なじみやすく、じっくり放出される
≪メリット≫
・角質層の深部まで成分を届け
・ゆっくり放出されるので持続効果が高い
・肌への刺激を抑えながら浸透を促す
≪代表的な成分≫
・ビタミンC誘導体(美白・抗酸化)
・レチノール(エイジングケア)
・セラミド(保湿)
💡代表的な製品例:
・リポソーム アドバンスト リペアクリーム
・8ヒアルロン酸リポソームスキンブースター
・オルビス ショットプラス ナノ NC ローション👈👈👈プチプラ
(2) ナノエマルジョン技術
超微細なオイル粒子に成分を閉じ込めて、肌への浸透を高める技術。
≪仕組み≫
・水と油をナノレベルで混ぜ合わせることで、成分が角質層になじみやすくなる
・皮脂となじみやすく、成分がスムーズに角質層に浸透
≪メリット≫
・油溶性成分(水に溶けない成分)の浸透を助ける
・角質層のすき間(細胞間脂質)に入りやすい
・乾燥肌でも浸透しやすい
≪代表的な成分≫
・レチノール(シワ改善)
・コエンザイムQ10(抗酸化)
・植物オイル(保湿・バリア機能強化)
💡 代表的な製品例:
・トヴェール ナノエマルジョン
・プラスキレイ プラスナノセラミルク
・白鶴酒造 ドラマティックリペア ナノエマルジョン
(3) イオン導入
微弱な電流を流して、有効成分を肌の奥まで届ける技術。
≪仕組み≫
・電気の力で肌のバリア機能を一時的に緩め、有効成分を肌の奥へ押し込む
・水溶性の成分が浸透しやすくなる(通常は油分が必要な成分でも浸透可能)
≪メリット≫
・化粧水や美容液の成分がより奥まで届く
・ビタミンC誘導体など、水溶性の美容成分に適している
・自宅用の美顔器でも応用されている
≪代表的な成分≫
・ビタミンC誘導体(美白・抗酸化)
・ヒアルロン酸(保湿)
・トラネキサム酸(抗炎症・美白)
💡 代表的な製品例:
・パナソニック イオンエフェクター
・Munyday M80B
(4) デリバリーカプセル技術
有効成分を特殊なカプセルに包み、必要な場所で放出する技術。
≪仕組み≫
・微小なカプセルに成分を閉じ込め、肌に塗ると徐々に放出される
・「時間差で成分を放出する」ことで、長時間効果が続く
≪メリット≫
・成分の安定性が高く、酸化を防ぐ
・徐々に放出されるため効果が持続する
・肌への刺激を抑えられる
≪代表的な成分≫
・ビタミンC誘導体(美白・抗酸化)
・レチノール(シワ改善)
・ナイアシンアミド(シワ改善・美白)
💡 代表的な製品例:
・ジョルジオ アルマーニ ビューティ クレマ ネラ RV コンセントレート
・クオリティファースト ダーマレーザー ウルセラR
👆スキンケア製品を選ぶときに、「どの浸透技術が使われているか?」をチェックすると、より効果的なアイテムを選べますよ。
とは言っても今の技術はこれらの技術が複合的に使用されている優秀なスキンケアが多いです。
化粧水は真皮まで届くの?のまとめ
美肌は一日にして成らず。
今回は化粧水が真皮まで浸透するのかを捜査してまいりました。
結論は最初に申し上げた通り、基本的には真皮まで届きません。
皮膚の構造と化粧品の成分の性質を知ると、なぜ真皮まで浸透しないかが納得出来てスキンケア商品の選び方のヒントになったのではないでしょうか?
おさらい
📌化粧水は基本的に真皮まで浸透する事はない
📌皮膚の構造と浸透
・「角質層」がバリア機能を持っている
・「角質層」は大きな分子や水溶性成分は通しにくい
・化粧品は肌の構造や機能には基本的に影響を与えない
・化粧品は「治る」などの治療表現できない
・もし化粧品を「角質層」より奥へ浸透させたいならバリア機能を壊す必要がある
📌浸透技術
・浸透力を高める技術は日々向上している(リポソーム技術・ナノエマルジョン技術など)
・それでも角質層より奥への浸透は美容医療の領域
≪うるみんポイント≫
・化粧品類は「角質層」へアプローチで、あくまで現状維持、予防の観点が強い
・「真皮」まで届かない事が意味がないのではなく、「角質層」のバリア機能を高めて「真皮」を守るために化粧品類がある
・肌トラブルが起きた時はクリニックに頼る
・目的が「治療」ならばクリニックでの医薬品処方や美容医療が最適
最後まで読んで下さり、ありがとうございます!
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